Life as Kamino Rui

MtFの私「神野留衣」と、私の現実世界での姿「僕」の二人の日常生活

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。神野留衣です。
とは言っても、もはや6日になってしまいましたが。

 今年こそは、本当の自分として、学校に通えるようにしたいと思っています。
たとえそれが無理でも、願うことは誰にも止められないはずだから…。

確かに、学校が性同一性障害を受け入れて、生徒の心の性別を尊重して、それに合わせた生活ができるよう配慮したという例はまだまだ少ないようです。
でも、それが私を受け入れられない理由になるはずはない。
そして何より、実際に理解してくれるクラスメイトは何人もいるのだから、最後は学校と親の判断によるのだろうと思います。

親の判断…これが、私にとっては最も大きな壁となっているようです。

私は、小学校五年生の時に父親を亡くして、それからは母親と二人で暮らしてきました。
だから、母親の理解さえ得られればよい…そう思っていました。
でも、母親は、簡単には理解してくれない。

「あなたのことは今まで男の子と思って育ててきたのだから。」
「そんなすぐに受け入れろだなんて言われても無理。」 

その言葉に、私は返す言葉がない。
私だって、そのくらい考えていたよ。
周囲の人々にとっては、私は大切な一人「息子」なんでしょう?
でも、それは私にとって苦しみでしかなかった。
周囲の人々が、お世辞のつもりで言う言葉。

「男らしくなったね。」

その言葉に、一体どう返せば良いというの?
事実ではないことを願う自分、お世辞であってほしいと思う自分。

こうやって、周囲の人々の好意を正直に受け入れられない自分が悪いんだとずっと考えながら、どうすれば良いか考えていた。
その答えが、本当の自分として生きること。

でも母親は、その変化を受容できなかった。

私は、変化を受容できない人間が嫌い。
自分は変化を受容できる人間になろうと思って生きてきた。
そうすれば、誰にでもやさしくなれるはずだから。

私の学校の同級生は、変化を受容する能力が高い人々だ。
世間的に見て、文句なしに「頭が良い」集団。
 今まで、40名ほどのクラスの中で、6人の同級生に打ち明けた。
誰一人として、変な顔をする人はいなかった。

「それもありだとおもうよ。」
本気でなやんでるやつを拒むなんてことはしない。」 
変わるかはわかんないけどやれることならやる。」 
「今の高校って社会にでる前の社会勉強の場じゃないの?そんなこといってたら、一生自分の気持ち抑えろって言ってるようなもんじゃない。」 

みんなは、真剣に考えてくれている。うれしい。
かえって自分は謝りたい。時間を奪ってしまってごめんなさい、と。
自分がこんな悩みを抱えていなかったら、考える時間を私のために割いてもらわないで済んだのに…。 

そのためにも、私は今すぐにでも変わりたい。
でも、それを邪魔するのは大人達。大人という名の、自分では何も考えない人々。

「あなたの行動は焦っているように見える、と校医の先生方が言っていた。」
「大学に行けば、自由なんだから…。」
「あと三年間、その周囲を思いやる気持ちで我慢してくれたらなぁ…。」
「思い込み、ってことも、あるからね…。」

私は、自分の通っている学校のことが大好きだ。
だから、先生方のことも嫌いにはなりたくない。
でもこんなことを言われて、嫌いにならないではいられない。
先生方も、こう言われるのは不本意だと思う。

「大人は分かってくれない。」

でも、今の状況はそれ以外の何物でもない。
今は担任の先生以外とは話していないから、当然他の先生方に対する感情は変わらない。

でも、私は担任のことが嫌いになった。
そして、母親のことも。

こうやって嫌いになる自分を、嫌いになる自分もいる。
変化を受容できないでいるのは、自分自身ではないかと。
受け入れてくれない、という事実を受け止められていない自分もいると思う。
でも、どうすればよいのだろう?

母親は、こう言った。

「診断が下りるまでは何もしないから。そのつもりでいて。」

診断…。そっか。分からない人に分からせるためにある「決まり事」を使わないと、理解してくれない人間なんだ。
私は、母親のことを母親とは思えなくなった。
思えなくても、母親であることに変わりはないけれど。
思っていても、母親は優しくしてくれないけれど。

それは大人の世界では普通のことなのかもしれない。
でも私は、ばかばかしいと思う。
診断があろうがなかろうが、理解する人は理解するし、理解しない人はしないと思う。

…なんてことを言っていると、大人の人々は、

「やっぱり子供だ」

と思うのでしょう。
それに加えて、私のこの悩みが、思い込みであるとすら考えるのだと思う。

…人間不信だなぁ、自分。

とりあえず、直近の目標は

「診断書を得ること」

です。

そうしないと、もう、何も変えられないようだから。大人の管理する世界は。
でも、私は同時に、クラスの人々に打ち明けることは、診断の有無にかかわらず続けていくつもりです。
なぜなら、同じクラスの人々は、信頼できる人々だから。
中身を見てくれる人々だから。
そして私自身は、その紙切れがあろうとなかろうと、変わることがない「私」だから。 

とりあえず、もう一カ所病院の予約を取ることからはじめようと思います。
今年中に、変われることを、戻れることを願って。
私に。